連弾

連弾

ピアノは1人だけでなく、2人が座って高音部と低音部を弾き分けることも可能である。
これを連弾という。
19世紀のヨーロッパでは、サロンの愛好家やアマチュアの子女のたしなみとして連弾のための音楽がもてはやされた。
ヨハネス・ブラームスはこのような状況を受けて『ハンガリー舞曲』を書いた。
さらに後輩であるアントニン・ドヴォルザークに『スラブ舞曲』を書くことを勧めた。
どちらも連弾のレパートリーとして欠かせない楽曲であり、またオーケストラ編曲としても親しまれている。
カミーユ・サン=サーンスの「交響曲第3番『オルガン付き』」では、第4楽章においてオーケストラ内のピアノが連弾で用いられる。
(しかし主役はオルガンであり、そちらの方がずっと目立つ。)
また一般的な2人で演奏する4手連弾のほかに、3人で演奏する6手連弾もラフマニノフなどの楽曲に作例が見られる。

2台ピアノ

2台ピアノ

ピアノを2台並べて演奏する方法。
連弾よりも音量において勝り、また奏者が2人とも音域に制限されずに演奏できる利点がある。
その反面、音が混ざり易く、雑多に聞こえ易いという短所もある。
2台のピアノは1台ずつそれぞれに調律するのだが、インハーモニシティはそれぞれのピアノに固有のものなので、調律は他のピアノとは完全には一致しない。
そのため、微妙なずれによって賑やかな音になる。
多くの場合は2台のピアノを向かい合わせに置くため、2台目のピアノは反響盤が1台目と反対方向に向いてしまう。
このため、大抵の場合は2台目の上蓋を取り外して演奏する。
2台ピアノのために書かれたオリジナル曲のほか、オーケストラ曲やピアノ協奏曲を試演する際にも用いられる。
この試演とは、主に19世紀において限られた音楽関係者の聴衆を前にオーケストラ曲の新作を披露する際、または現在においても音楽学校などでピアノ科の生徒が協奏曲を試験などに際して弾く際に用いられる演奏手段である。
2台目のピアノを連弾にし、合計3人の奏者が演奏する場合もある。
ダリウス・ミヨーとスティーヴ・ライヒの作品には、それぞれ6台のピアノを同時演奏するものがある。
また1993年から毎年開催されているヴェルビエ音楽祭で、2003年の10周年記念として行われたガラコンサートでは、著名なピアニスト8名(エフゲニー・キーシン、ラン・ランなど)が、スタインウェイのピアノ8台を「八」の字に並べ同時演奏したことは有名である。

オーケストラとピアノ

ピアノ協奏曲
ピアノ協奏曲とは、ピアノをオーケストラの前面、指揮者の横に置いて、オーケストラを伴奏としてピアノが主役で演奏するオーケストラの演奏形式である。
指揮者自身がピアノを演奏しながらオーケストラを指揮する場合もある。
まれに2台のピアノとオーケストラのための協奏曲も存在する。
モーツァルトの『ピアノ協奏曲第10番』、メンデルスゾーン(2曲)、プーランクの曲が有名。
モーツァルトには3台用の協奏曲『ピアノ協奏曲第7番』もあるが、自身による2台用編曲が演奏される機会が多い。
さらにまれな例としては、4手連弾とオーケストラのための協奏曲というものがあり、カール・ツェルニーが数曲作曲している。

オーケストラの中のピアノ
ピアノ協奏曲のように主役としてではなく、オーケストラの音色の一つとして脇役でピアノの音色を挿入する際に用いられる。
この場合ピアノは舞台の左脇に配置されることが多い。
その役割は単純で補助的なものから、ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』のようにあたかも独奏者のごとく活躍するものまである。
プロコフィエフやショスタコーヴィチが多用した。

オーケストラとピアノ

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